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映画『アメリカン・ビューティー』 〜ビューティーではないアメリカの現状〜 公開:2000年(米)アカデミー賞5部門受賞 監督:サム・メンデス 主演:ケビン・スペイシー、アネット・ベニング 推薦者:黒岩宏光 ■「渡る世間は鬼ばかり」 橋田壽賀子原作「渡る世間は鬼ばかり」は、日本の誇る人気TVドラマであり、特に中高年の女性には絶大な人気を誇るっているところであります。 さて、このドラマをアメリカやヨーロッパの方々にご覧いただいて、日本のご婦人同様に内容を共感していただけるかというと、これはとても難しいのではないかと思われます。 その国の文化や風習、歴史やしきたりなどを理解できなければ、なかなか受け入れることは難しいところでありましょう。1989年度アカデミー最優秀作品賞の「ドライビング・ミス・デイジー」なども、白人と黒人、その文化歴史などが分からない私たち日本人には今ひとつ理解できない物語でもあります。 さて、本年度アカデミー賞作品賞を含む5部門を受賞したこの『アメリカン・ビューティー』においてもその印象があり、現在のアメリカという国を理解しない限り、この内容は我々には少々伝わりにくいものでありましょう。 ■麻薬、銃社会、同性愛、不倫、家庭崩壊 会社からリストラの危機にある中年男レスターが、自分の娘のクラスメイトに不埒な性的衝動を覚え、そこからこの家族の悲劇(喜劇)が始まることとなります。当然娘は父親に嫌悪感を抱き、妻は同業者と不倫、レスター本人は隣に越してきた元海軍大佐の息子リッキーの勧めでマリファナを吸い始め、ますます事態はエスカレートし、悲劇的な結末へ向かうことになります。 この物語は、戦場でおきている出来事でもなければ、宇宙空間でもなく、沈みゆく船の中でもない(^^;)、通常の心理状態ではない状況での話しではありません。ごく普通の、アメリカという国に生活する一家族で起こる日常生活での物語です。 麻薬、同性愛、不倫、家庭崩壊、経済雇用不安、銃社会、という現在のアメリカが抱える様々な問題が映画の中に登場しますが、これは言ってみれば、身近なところで起こっているということを考えると、アメリカの国民にとってはそれだけに恐ろしい内容であるかも知れません。下手な作り物のサイコホラー映画より現実味が強いだけに、身に迫る怖さでしょう。この辺のところがアメリカ国内でこの映画が絶賛された原因でありましょう。 ■よい国アメリカの復活を アメリカはとても良い国であります。多くの民を受け入れ、数多くの天才を輩出し、新しい物や考え方を創造し、世界のリーダーとして経済や文化をリードし、そして現文明を築いてきました。 日本や他の国々においても、計り知れない影響を受け、このリーダーから「豊かさと自由」の恩恵を享受しています。 この映画がこの国の国民に受け入られるということは、世界のリーダーとして活躍をしてきたこの国ではありますが、自由と博愛の国<よい国アメリカ>の国民を演じるにはいささかお疲れのご様子であると感ずることができます。背伸びをしながら生きているこの映画の登場人物からその苦労がにじみ出ています。 IT革命、コンピュータ&インターネット技術、遺伝子&バイオテクノロジー、宇宙工学技術など21世紀の先端技術を牽引し、新しい世紀を切り拓いていく使命がこの国には残っています。現状では、この国が沈んで、他の国々が生き残る道はありません。アメリカの崩壊は世界の崩壊を意味します。 この映画の内容から、当会の「推薦」という皆様へのご紹介はできませんが、できることであれば、この映画がある意味で反面講師として、現在のこの国の人々にとっての生き方考え方に対する警鐘として受け入れられること、そして、「よい国アメリカが復活すること」を願ってやみません。 |
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