「歴史というものは虹のようなものである。それは近くに寄って、くわしく見れば見えるというものではない。近くに寄れば、その正体は水玉にすぎない」 オーエン・バーフィールドという言語学者のこの言葉の発想に視点をおき、「日本という名の虹」を鮮明に読者に掲げる、日本人必読の快著である。平成4年にクレスト社から発刊されベストセラーになった本であるが、昨年、三笠書房より文庫本として発売されたので、ここにご紹介したい。 ■歴史とは「虹」を見ること 「これまでの500年、これからの250年、逆説の国日本の世紀を俯瞰する」とサブタイトルにあるように、歴史学や学校の教科書などでは知ることのできない、新しい視点から見る日本の姿を、詳細な事実や資料をベースとし、誰も知り得ぬ事実や発想により、著者は500年前にさかのぼり日本の歴史を考察する。
これらの逆説的な視点から過去の日本史を振り返り、我々が思い描いている日本の姿を覆すような視点を読者に与える。そして、これからの「日本の時代」についての「大きな虹」を著者は描くのである。 ■見るものがあってこそ歴史が存在する 不況の直中にある日本であり、まだ脱出口すら見えない状況にあると思われるのだが、著者は、すでに「世界の日本化」が始まっていると説明する。 日本食文化、独創性、美意識などの文化から、「日本の時代」という新しい歴史が始まり、日本の繁栄を大胆に予測するばかりでなく、その後の日本が、地球の歴史に何を残せるのかというところにまで及んでいる。 少しご都合のよろしい解釈もあるとは思うが、歴史として起こった事実には変わりはなく、その解釈によってこれほどまでに過去の歴史観までもが変化するものなのかと、著者のその巧みな考察には恐れ入る。とても面白く読むことができ、日本人としてとても勇気の出る内容になっている。敗戦や不況といった「水滴」も、見る者の視点を変えるだけで美しく天空を彩る「虹」と見えるのである。 勇気が出ると申し上げたのは、日本人として、良い方向に歴史の見方が変わったから――ということだけではない。「見るものがあってこそ、その歴史が存在する」、その観点を自らの人生の歴史にも応用できそうだからなのである。 |
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