■時代の寵児「孫正義」氏 大阪証券取引所に日本版ナスダック(NASDAQ)をつくる─── 昨年、ソフトバンク社長の孫正義氏はもっとも話題になった人物の中の一人といえる。 今年1月4日の東京証券取引所第1部でこのソフトバンクの株価終値は10万3000円と、初の10万円台をつけ、時価総額は11兆3000億円となり、東証1部ではNTTドコモ、トヨタ自動車、セブンイレブン・ジャパン、NTT、ソニーに次ぐ「10兆円銘柄」となった。 今まさに時代の寵児ともいえる孫社長のこの発言を皮切りに、本書は「株式時価総額」の話から「パーマネント・トラベラー」「IPO」などのキーワードをならべ、次の時代の「グローバルスタンダード」の話からいつもの竹村節を聞かせてくれる。 第2、3章では、優勢が続くアメリカの次期戦略などの話題におよび、株高のバブル懸念などの噂もどこ吹く風とばかりに、シリコンバレーを中心としたアメリカのベンチャー企業の実体などを紹介している。 第4章では、ソフトバンク、ヤフー、ソニーなどのインターネット戦略を中心に、物を作る工業時代から情報時代(もはや情報”化”時代ではないそうです)に移行する現代においての現状を説明し、第5、6章ではこのような中での日本の生き残り方策や「NPO」の話題、沖縄サミットを含めた日本の「21世紀の生き方の時流」を訴えている。 ■Nothing ventured, Nothing gained 自らを世界の事情通と称する竹村先生の毎年好評シリーズの本年度版であるが、なんと言っても核となっているキーワードは、「情報社会」という言葉につきる。その情報社会の一つの手段としてのインターネット、そしてそれを核として利用するビジネスという点に集約されるところである。 それにしても、このソフトバンクの孫正義社長の時代を捉える鋭さと勝負強さはけた外れである。 インターネット時代を見通し、100億円で買ったヤフーの株が今や2兆2千億円、儲けた金額もけた外れなのである。この社長にとって、「不景気」などという言葉は次元の違う存在のように感ずる。 「Nothing ventured, Nothing gained」(リスクを冒すことがなければ、何も得られない)───この言葉は、日産のコマーシャルでも登場した、同じく世界的なベンチャー企業の雄バージングループ会長リチャード・ブランソン氏の格言であるが、日本流に言うと「虎穴に入らずば虎児を得ず」ということになろうか。 個人的には鳥肌が立つぐらい好きな言葉である。勝利者こそが経験を顧み理解することができる、真の理なのであろう。 今の時代、世の境遇を嘆き、多くを欲しがるばかりで、自らの危険を冒そうともせず不平不満を口にする輩が多い。望むものを手に入れたいと思うほどの、それに見合うほどのリスクを賭ける「勇気」と「チャレンジ精神」がないということなのである。 今ような混沌の時代であるからこそ、時流を捉え勇気を奮える者にとっては、空前のチャンス到来の時期と察することができよう。 |
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