|
人々が豊かで便利で快適な生活を送れる社会を築くために経済があった。しかし、いつしか社会のための経済から、経済のための社会へという逆転が起きてしまった。そのため、未来への展望を失いつつあるのではないでしょうか。というのが著者の指摘です。 今、西欧世界が主唱し、多くの非西欧諸国が受け入れて進めてきた西欧的な近代化に、はっきりと限界が見えてきた。近代の延長上に世界の未来を描けなくなった時代、そういう時代に私たちは明らかに突入している。いまの世界的な生き詰まりは、西欧にはじまる近代世界の生き詰まりであり、その後追いをしてきたアジア的な世界の生き詰まりである。 そして、日本はその二つの世界をミックスさせてやってきた限りで、同じように生き詰まっている。しかしながら私は、日本には「もう一つの世界」があり、その世界を掘り下げるところに日本の未来的な可能性があると考えている。 韓国生まれの著者は日本で暮らす内に日本のもつユニークさに目がいくようになったようだ。そのような著者の最新刊の書籍である。日本は西欧の文化を受け入れながら、自分の主体性を失うことなしにそれを消化し、独自の文化を作り上げた。これはアジアの中のどの国もできないことであったと彼女は言う。日本の中で生きてきている私たちには気がつきにくい視点から日本の持っている特徴を色々な角度から述べている。 例えば、日本の精密技術が、手で触れて千分の一ミリレベルの凹凸を確認し、手を使って磨き上げてならしていくといった、まるで神業のような腕をもった技術者の存在と切り離せないものであるということは良く知られている。日本は東洋のなかで、身体で覚える技術を最も高度に発達させてきた国だといってよいだろうと指摘している。 アジアと欧米の限界を越えて、世界へ向けて新しいヴィジョンを発するのは日本であると著者は言っている。その点には同感するものではあるが、その根拠と著者が指摘している点には必ずしも賛成できないものを感じる。 しかしながら、この著書から私たちが学べることは数多いと思います。 |
[ホームページへ戻る]