著者はそれぞれの民族が生活している風土こそがそれぞれの民族の生き様を決めたという視点から本書を生み出したと思われる。
ヨーロッパ(欧州)は石の風土で、そこでは牧畜が一番適しており、人々は牧畜で生計を営むようになった。牧畜という産業にとって一番必要なのは牧草で、牛1頭に平均3千坪の牧草地が年間で必要なのだそうである。収入増には牛の数を増やす必要がでてくるが、それには牧草地を増やす必要が出てくる。ということで、欧州の「砂の文明」は常に外部に土地を求めるという「外に進出する力」を本質的に所有する文明であると説明する。
一方、中近東のような砂漠では、駱駝こそが生活の支えで、駱駝の餌を求めて遊牧する生活が一番適しているという。駱駝を用いて遊牧し、交易することが一番の生活手段となっている。
このような生活では新鮮な情報が一番で、「ネットワークする力」が「砂の文明」を特徴づけるキーワードだと著者は言う。部族と呼ばれる一定の単位で情報を共有し、他の部族とはネットワークを通して情報を交換するという生き方を長い間してきている。従って、国家という概念は彼等砂漠の民にはなかなか定着しないだろう。
今、自衛隊の隊員の方々がサマーワでイラク復興のために尽力しようとしているが、色々な部族が存在するので平等に・公平にと考えてもかなり難しい面があるということを日本の人々は理解しているでしょうか。部族の長は自分の部族のことを考え、他の部族が自衛隊の支援でいい思いをしたら、我が部族にもと主張するのは目に見えているからです。
アジアは「泥の文明」で、稲作を中心とした農業が主体で、定住が可能であり、自然が許す範囲で色々な農作物の収量アップを計る生き方になる。その文明の特徴は「内に蓄積する力」だと著者は言う。
このような風土に基づいた各文明の特徴を見ていくと、これからの人類の進むべき道も見えてくるような気になってくるから不思議である。
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