■日本の心を美しくする 今月の当会推薦書籍



「私の夢・日本の夢 21世紀の日本」 松下幸之助:著

【松下幸之助氏に学ぶ「理想の日本」「理想の日本人」】
 推薦者:山下 宏

(前回からの続き)
No2 「松下幸之助の教育観」 編


最近、中学生のナイフ事件を契機として、教育に関して多くの議論がなされています。そこで第二回目として、前回の予告を変更し松下幸之助は教育をどのように考えていたか、「第3章 教育、宗教について」を中心に皆さんと学びを深めていきたいと思います。

松下幸之助氏は、教育の根本的な目的は、「お互い人類の繁栄、平和、幸福を高めていくために、心身ともに健全な人間を育成する」ことにあると考えていました。松下幸之助は、人間には人それぞれに独自の個性、天分が与えられていると考えていました。「その個性、天分を見出し、伸ばし、活かすこと」こそ教育の大事な点であるというのです。

松下幸之助の考える教育は知育、体育、徳育の三本柱から成り立っています。具体的には、

 @「読み、書き、そろばん」という共同生活上必要な基本常識を教える。
 A文明社会に必要な高度な知識・技能を身につけるための自然科学、社会科学、
  あるいは生活面での広い常識を教える。
 B健康のために体を鍛える体育を教える。
 C礼儀作法や自他相愛の精神を実践的に身につける人間教育、道徳教育を重視する。

などです。

みんなが画一的な教育を受け、ただがむしゃらに進学するというのでは、本人にとって不幸であるばかりでなく、国全体としても大きな損失であるということで教育制度の見直しを提案しています。義務教育における最重要課題として道徳教育を徹底して行うことを提唱しています。そこでは、お互いの福祉の向上に役立つ一人前の人間としての正しいものの見方、考え方、あるいは判断力を養わせる。礼儀作法とか、自他相愛の精神なども、単に頭で理解するだけでなく、実践を通して身につけさせる。そうすれば、人間として、社会人として、共同生活を楽しく送っていくための良識を身につけた人が増え、より明るい住みやすい社会ができると考えたのである。

戦後、敗戦による混乱と貧困に喘いでいた日本は驚異的な発展をしたが、それが本当に日本人が望み、求めるべき日本の姿なのか。ちょっと違うのではないかと彼は考えたのです。松下幸之助が考えた目指すべき日本とは「精神大国」「道徳大国」であった。具体的には「国民お互いが心豊かな姿を現して、明るく活き活きと日々の仕事に励みつつ、物心ともに豊かな生活をつくりあげ、併せて、海外の人びと、ひいては人類相互の幸せのために、力強く奉仕、貢献ができるような国家」である。

つまり、松下幸之助は、道徳が社会全体にいきわたっていくことによって、物も心も豊かな素晴らしい社会が実現されると主張し、それこそが日本が目指すべき国家の在り方ではないかと訴えていたのです。
松下氏の意見を採り入れていれば、今のような混迷した日本の状況を回避できていたのではないかと筆者は考えるのですが、みなさまはどのように感じられたでしょうか。

次回こそは、松下幸之助の政治観に学んでみたいと思います。
(参考書籍:「2010年の日本」The21・1994年10月特別増刊号)


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