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映画『エリン・ブロコビッチ』 〜人を救うこと〜 公開:2000年(米) 監督:スティーブン・ソダーバーグ 主演:ジュリア・ロバーツ/アルバート・フィニー 推薦者:黒岩宏光 ■和解金3億3千3百万ドル
「全米史上最高額の和解金を手にした女」・・・とのキャッチコピーで、日本では昨年公開された映画であります。さて、このように聞くと、なにやらこの主人公エリン・ブロコビッチなる方が、訴訟社会のアメリカで言葉巧みに要領よく企業をいじめ、法外な賠償金をむしり取ったお調子者のストーリーのような先入観を持ってしまいますが、内容はぜんぜん違います。 電力会社PG&E社からの全米史上最高額といわれる和解金3億3千3百万ドルを手にしたのは、その公害の被害者である600人を超える原告団であり、彼女はその死の恐怖におびえる被害者達の希望となり、獅子奮迅の活躍をした女性のヒューマンストーリーであり、実際にあった物語なのであります。 ■企業倫理 「六価クロム」なる化合物は、強力な酸化剤として働き、金属の洗浄、防食等に用いられますが、その毒性は強く、消化器や肺から吸収され、ガン、潰瘍などを生じます。日本でも昭和48年に東京の地下鉄工事中に化学工場の跡地から六価クロム化合物を含む鉱さいが発見され、土壌汚染問題が大きな社会問題となりました。 映画の中では、ロサンゼルス郊外にあるヒンクリーという砂漠地帯にあるPG&E社の工場近辺に住む住民にその「六価クロム」の被害が及びます。体の不調、ガンなどに犯される住民が増えますが、住民はこの企業によるずさんな水質管理が原因とは思いも寄りません。企業はその事実を公表せず、水質汚染調査書類などを抹消し、3価クロムは体に影響はないなどと住民に虚偽の報告をし、隠ぺい工作を図っているからであります。その上、住民の土地を格安で買い取り、証拠の隠滅を企んでいるという、企業倫理など微塵もない、まったくひどい話です。 ■あらすじ さて、映画は、離婚暦2回、職なし、キャリア無し、金なし、運なし(^^;)、3人の子持ちという、実在の女性エリンが主人公であります。しかしながら、彼女には過去ミス・ウィチタであった美貌とスタイルを持っております。そんな彼女でありますが、自分の自動車事故の裁判を担当した老弁護士エドと知り合い、彼の法律事務所で半ば強引に世話になります。また、彼女の隣に引っ越してきたライダーのジョージなどの助けと励ましを受ける日々の中、ある日、不動産案件の書類に医療記録が含まれているのを見つけ、不審を抱くことになります。 エリンは毒物学の教授に話を聞いたり、水道局のおにいさんにお色気を武器に(^^;)、データ類を調査する内で、PG&E社が六価クロム汚染の隠蔽を図っているとの確信を得ます。 ■人を救うこと さて、大企業相手の訴訟に弱小弁護士事務所の力ではとても勝ち目はない・・・とやる気のない老弁護士のエドに喝を与え、かかわりあうことすら恐れていた住民たちを団結させ、企業からの脅迫などに恐れることなく、哀れな彼らのためにエリンは体を張って働きます。 「こんなに人に尊敬されることは生まれて初めて・・・」 別れ話の持ち上がったジョージにエリンは語ります。彼女はこの不幸な住民たちの話を聞き、調査をするうちに、自分も子を持つ親の身から、親身に彼らのことを考え、感情移入するようになります。一人でも多く被害に苦しむ人々を救いたいというエリンの正義心は、当初少人数の告訴で土地の買収額のみを吊り上げれば、というエドの損得勘定による裁判の進め方を変え、大規模な公害訴訟へと展開していきます。 この彼女の情熱の源となったのは、彼らから信頼されていく中で、裁判に勝利することにより病に倒れていく住民たちの無念を晴らすべく、彼らの希望としての使命を担うという、心の「満足感」でありましょう。勇気と正義、生きることの真なる喜びを彼女はこの仕事の中で味わっていたことでありましょうし、光り輝いていたことでしょう。 賠償金の額という結果よりも、他を救うことにより、 「自分自身を救う」 という結果をもたらしたストーリーにこそ、面白みのある映画でありましょう。 しかしながら、「美しさ」も女性にとって大きな力であることは、事実でございます(^^;)。 |
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