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映画『シッピング・ニュース』 〜壊れた心もいつかは癒える〜 公開:2001年(米) 監督:ラッセ・ハルストレム 出演:ケヴィン・スペイシー/ジュリアン・ムーア 推薦者:津田 孝子 ■あらすじ
幼かったころ、「自分で泳げ」と父親から海に突き落とされて溺れたことが、心の傷になったままでいるクオイルは、ニューヨークで新聞社のインク係として働いていた。そんな孤独で冴えない彼が、ペタルという女性に出会い、子どもができて結婚する。しかし、奔放な妻は家庭に入らず、ついに家出をするが、自動車事故で即死してしまう。心の傷をさらに大きく背負ったまま、クオイルは娘のバギー、叔母のアグニスと3人で、まだ一度も訪れたことがない彼の父の故郷であるニューファンドランド島へ向かった。そこにはクオイル一族の古びた家が残っていた。その小さな村の地元新聞社で「港湾ニュース」を担当することになったクオイルは、さまざまな出来事をとおして、人々の心の葛藤や自分の一族の過去を知ることに・・・ ニューヨークではただのインク係だったクオイルも、ここでは記者。仕事を契機に少しずつ自信に目覚めてゆきます。 そんな中で、クオイルが父親に突き落とされて溺れ、もがくシーンがたびたび再現されます。心の傷がいかに深いものであるかが伝わってくるシーン。何度も悪夢にうなされるような心の傷を負っている情けない自分、ただいるだけで、何の価値もない・・・彼は自分のことをそんなふうに思っていたのでしょう。 しかし彼は、村の人々との交流を深めていくなかで、そんな思いで生きているのは自分だけではないことを知ってゆきます。勤務先の社長ジャック、その息子のデニス、未亡人ウェイヴィ、叔母のアグニス、みんないろいろな過去を持ち、悲しみや苦しみをかかえて生きている。心の傷が癒えぬまま、憎しみの心を抱き続けて生きていることもある。「過去は忘れるの。」?そう言った叔母も、懸命に戦っていた。過去の癒えない傷と?。自分だけが苦しいんじゃない・・・。 ある日、村を台風が襲います。崖の上に残されていたクオイル一族の家は、暴風に飛ばされて、跡形もなく消えてしまいました。 心の傷を象徴していたかのような古びた家が壊れてなくなったとき、そこにはニューファンドランド島の美しい景色が広がっていました。残ったのは、やさしい風と穏やかに寄せる波。 クオイルが言います。「壊れた心もいつかは癒える」。 おそらくもう、あの恐ろしい、もがき苦しむ夢を見ることはなくなることでしょう。 とりたてて大きな事件が起こるわけでもなく、いたずらに心の葛藤を深追いするでもなく、淡々と日常を描いたこの映画は、しっとりとした穏やかなやさしさを残して、幕を閉じました。 |
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