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映画『タイタンズを忘れない』 〜解ろうとすること〜 公開:2000年(米) 製作:ジュリー・ブラッカイマー 監督:ボアズ・イエーキン 出演:ゼンゼル・ワシントン/ウィル・パットン 推薦者:津田 孝子 ■あらすじ 1971年のアメリカ、まだまだ人種差別が厳然と存在しており、今のように黒人と白人同士が交わることのなかった時代。アメリカンフットボールが住民の最大の関心事だというバージニア州の町で、黒人学校と白人学校の統合が決定され、T.C.ウィリアムズ高校が生まれた。学校のフットボール・チームも統合することになる。そこには既にヘッド・コーチ候補である白人のビル・ヨーストがいたが、黒人コーチのハーマン・ブーンがフットボール・チーム「タイタンズ」のヘッド・コーチとして雇われることになった。ヘッド・コーチの座を奪われたヨーストは退任するつもりだったが、それまで育ててきた選手達のために、アシスタント・コーチを引き受ける決意をする。 「タイタンズ」の合宿が始まった。だが、選手たちの偏見と確執は根強く、チームがひとつにまとまらない。ヘッド・コーチのブーンは、選手たちに厳しすぎる練習を課し「完璧を目指せ」と叱咤し続けた。そんなとき、カリフォルニアからひとりの転校生がやってきた。"サンシャイン"とあだ名をつけられたロニーだ。何にもとらわれないロニーを迎え、やがて彼らは心の壁を乗り越えて、ひとつになってゆく。 合宿は終わった。しかし町に戻った彼らを待っていたものは、人種の壁を越えられないでいる町の人々の偏見だった。ようやくひとつになった「タイタンズ」に周りの大人たちや生徒達の冷たい視線が注ぐ。それでも彼らは、壊れそうになったチームの絆を深め、無敗の快進撃を続けてゆく。 そんな「タイタンズ」に、いつしか人々は大きな声援を贈るようになっていった。そして州大会の決勝戦を目前に控えた夜、悲劇は起こった・・・・。 ■ゲティスバーグの丘 キャプテンでトッププレーヤーの白人ゲリーと黒人ジュリアスがいがみ合う・・。チームプレーができないため、選手達は過酷な練習を課せられます。コーチ同士でさえ、打ち解けられずにいました。 ある日ブーンは、まだ夜明け前に全員を起こし、森の中をランニングさせました。ブーンのあとを必死に追いかけて走り続けた彼らの目の前に広がっていたものは、「ゲティスバーグの古戦場跡」でした。1863年7月1日から3日間に及んだ戦いは南北戦争で最も熾烈な戦いといわれ、5万人以上の死傷者を出しました。激戦の後にリンカーン大統領が演説したことで有名な場所です。 5万人の人々が流した血の上に立ち、100年以上が経った今、何も変らないでいていいのか・・。そんなブーンの悲痛の訴えがとどいたのでしょうか。選手たちの言動に変化が出始めたのでした。それはまるで、かたく凍った根雪がチョロチョロと解けはじめ、やがて大河となっていくのを予感させるようなできごとでした。 ■「解ろう」とすること アメリカ合衆国が抱えていた「人種差別」問題は、日本人にはあまり馴染みがありません。そのためか、「どうしてそんな・・」「なにもそこまで・・」と言いたくなるようなセリフやシーンが多かったと思います。それでも「解りあう」ということから、超えられないと思われた心の壁を乗り越え、強い絆が生まれ、町中に変化をもたらし、チームは勝ち続けるという感動的な奇跡を、この映画はみせてくれました。 黒人対白人という非常にわかりやすい構図を取り外してみれば実は、無理解や偏見、憎悪といったネガティブな感情が招くところのさまざまな問題は、日常生活のそこかしこにあります。職場に、学校に、地域社会に、もしかすると家庭の中にさえも。 でも大丈夫。「解ろう」とするほんの少しの勇気があれば、その思いは必ず伝わって、超えられない壁はない。 わかってもらえないと嘆くより、まず自分から「解ろう」とすること。 その思いが強ければ強いほど現実を動かす力になる。それを私たちは「奇跡」と呼んでいるのかもしれません。 (『タイタンズを忘れない』 は現在全国ロードショー中です) |
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