■今月のコラム

「当たり前のことを当たり前に実行することの難しさ」

 選者:山下宏



 ■「当たり前のことを当たり前に実行することの難しさ」


皆さんはMKタクシーというタクシー会社をご存じですか。京都では非常に有名な会社です。

昭和35年に10台のタクシーで認可を受け、商売を開始し、今では京都だけでも850台のタクシーを有する会社へ育て上げ、近年注目を集めている会社である。MKグルプオーナーは青木定雄という方であり、「私は常識的なことを継続しただけ」と簡単に言っているが、その話を聞くと一朝一夕に今日の状況を築けたわけではないことがよくわかる。以下、その主な点を拾ってみよう。

タクシー運転手の評判が悪いのは挨拶さえできないからだ。では挨拶から教育しよう。毎日、朝6時半に出勤。ガレージの中を回り、夜勤者に声をかける。しかし全く相手にされず、10年目に初めて挨拶を返すようになった。MKの挨拶の基本は次の4つ。

 「おはようございます。ありがとうございます」

 「どちらまでですか、東京駅までですね」

 「本日は青木がお供いたします」

 「お忘れ物はございませんか。ありがとうございます」


次に直面したのは、雇った運転手に無断欠勤、遅刻、早退が頻発した事態であった。運転手宅を訪問して見て、住宅環境が悪く、夜勤明けの運転手が昼間ゆっくりと寝られないためとわかった。そこで、運転手に家を持たせ、生活環境の改善を図った。

社宅を建設して入居者を募集するも申込者が1名もなく、その原因が住宅を購入すると生活費がなくなることにあることがわかった。そこで運転手の賃金を大幅に高くし、住宅を購入できるようにした。(当時7万円であった月給を平均で12万円とした)

その他色々工夫して運転手が社宅に入居する様になってから、事故も減り、欠勤も減少し、儲けにつなげることができた。

私が社員の教育に力をかける理由は明白である。私の見方は、銀行や得意先ではなく、自分の社員であるからだ。

「当たり前のことを当たり前にやり続ける」ことは非常に難しいことである。それを継続し続けたMKタクシーはお客から指名されるタクシー会社へと発展した。

しかし、そのマネをして同じようなサービスを提供するタクシー会社が40数年のMKタクシーの社歴の中で、出現していないという事実は、常識的なことだと言ってもそれを倦まず弛まず継続してやり続けることは並大抵なことではないということを証明しているように思われるのだが、皆さんはどう思われますか。





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