■今月のコラム

「新しい公立学校」の出現を期待する

 記者:広野まり



■アメリカ版「ゆとり教育」の失敗

私が子供の頃やっていたアメリカのホームドラマに印象的なシーンがありました。学校から帰ってきた子供たちが、プールのある庭を通って大きな家に入り、大きな犬にじゃれつかれながら、これまた大きな冷蔵庫を開け、取りだしたアイスクリームをほおばっている、というものです。あこがれたものでした。

その一方で、違和感を覚えたシーンもありました。それは学校の風景でしたが、とても勉強しているようには見えなかったことです。日本のように黒板に向かって皆が一斉に勉強しているというものではなく、授業中なのに寝ころんで本を読んでいる子供がいたり、それぞれが好きなことをやっていました。

「これがアメリカなのか・・」と感心した記憶があります。
しかし、その寝ころび授業のような自由教育は失敗だったようです。アメリカでは1970年代に「教育の人間化」と称して、アメリカ版「ゆとり教育」を推進し、その結果1980年代に入って学力低下や校内暴力など、学校の荒廃ぶりが深刻になりました。


■チャータースクールの出現

それでも、アメリカのすごいところは方向転換の早さです。
最近読んだある雑誌によると、アメリカではチャータースクールという民営の公立校が急増しているというのです。私立学校と違うのは、すべて税金で運営されているところです。公立学校で一人当たりにかかる費用に、生徒数を掛けた金額がチャータースクールに支払われる仕組みになっています。1992年に第一号が開校されて以来、現在では3000校近くのチャータースクールが存在し、在籍生徒数は50万人を超えているのだとか。小規模できめのこまかい教育を行い、多くの学校が学力向上を目的とし、規律もきびしいそうです。授業の質の高さに対する親の満足度を調査したところ、9割近くが満足しているという答えでした。

チャータースクールの存在は、同じ地域の公立学校の改革も促しているようです。この10年でアメリカはほぼ完全に公教育を立て直したということになるでしょう。

ところで、日本では義務教育の9年間にかかる生徒一人あたりの公費(税金)が、813万円なのだそうです。公立に通うのに年間一人当たり90万円近くの税金が使われているということに、私はとても驚きました。


■「新しい公立学校」の出現を期待する

日本でも「ゆとり教育」が推進されています。来年から使われる教科書の中身が三割も削減され、スカスカの内容になることが最近話題になっていましたが、学力向上に関しては塾におまかせというのが現状です。このままでは、公立学校は税金の無駄使いだと言われてもしかたない状況になってしまうでしょう。

そんななか、日本版チャータースクール設置の動きも出てきています。「教育改革国民会議」でも「新しいタイプの学校の設置を促進する」という提言が最終報告のなかでなされました。親や地域のニーズにあった「新しい学校」の出現を、私は多いに期待しています。






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