■「ノーベル賞受賞について考える」
最近の明るい話題の一つにノーベル物理学賞と化学賞のダブル受賞が挙げられでしょう。物理学賞を受賞したのは東京大学名誉教授の小柴昌俊氏(76歳)であり、目には見えないニュートリノという素粒子を検出することに成功した業績が受賞の対象で、それは1987年の事というから本人はいつ賞を頂けるか気になっていたのではないでしょうか。
一方、化学賞を受賞したのは島津製作所に勤務する田中耕一氏(43歳)である。これ又、1987年にタンパク質分子をばらばらにして飛ばし、飛び出した分子の動きから質量を測る「ソフトレーザー脱着法」を開発した業績が受賞の対象となっている。蛋白質のような生体中の物質は高分子と呼ばれ分子量が大きいために、質量を測ることが困難であったが、それを解決した業績が光る。
小柴氏は大学の教授で、ノーベル賞受賞に意外性はなかった。一方の、田中氏の場合は民間企業の一研究者であり、本人も「寝耳に水のお話です」と言っていたように、日本では無名の方の受賞であった。
学生の理数離れ、学力低下が叫ばれて久しいものがあるが、今回の受賞で僕も理科系を志望しようと考える学生が増えるということは余り期待できないのではないかというのが私の個人的な感想である。
何故なら、今の多くの若者には「志」があるとは思えないからである。自分が学んだことを活かして、社会に出てから世の役に立つことを是非よりたい等と考えるような若者がたくさん出てくることを期待したいものではあるのだが。
田中氏の受賞にはその価値を目ざとく見いだした米国の二人の教授の存在があったという。人が才能を開花させるには、評価する側の「見抜く能力」が欠かせないことを今回の受賞は如実に示している。
そんな中で、田中氏の謙虚で飾らない人柄こそが今回の最大のヒットであると私は個人的に考えているが、皆さんはどのような印象を持たれたでしょうか。今回のダブル受賞が日本人に自信を回復させることになればこれ以上のことはないのではないでしょうか。
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