「キーワードは反省」 〜サル編 (前編)〜
記者:愛川 良樹
|
■「反省」サルの次郎君は今
「猿も木から落ちる」「見ざる、言わざる、聞かざる」・・とサルにまつわる諺が数多くあります。 そして、なんといっても数年前に有名になった「反省」サルこと次郎君のことは、お茶の間をにぎわしていたことを覚えておられる方も多いでしょう。現在は、妻かなめさんとの間にひまわりちゃんという子猿がいて、静岡県伊東市の猿ランドでボスとして威厳を保っているとか・・。1年に3歳年をとるサルの世界で40歳を過ぎた男盛りであるが・・良きマイホームパパとしても健在だそうです。 ■2つの大事件 ところで、最近世間を騒がしマスコミをにぎわせた、埼玉県川越保健所が病原性大腸菌O157の検査ミスによる賠償請求が100億円を超えるとのことです。また、「雪印乳業」大阪工場で製造された製品で食中毒の発症者が自己申告を含めて1万人を超え、1948年の食品衛生法施行後、戦後最悪の最大規模の食中毒禍となりました。この2つの事件がほぼ同時期に連続して発生し、しかも共通する"菌"に対しての扱い、その対応についていろいろと問われています。この二つをまず検証してみたいと思います。 まず、O157の件については、県の検査ミスが原因で発症者が出なかったことが救いではありますが、企業や関係者が受けた打撃は金額では表せないほどの大きな痛みとして残ることは避けられないでしょう。しかし、県がミスを認めた発表を早い時期に行ない、しかもメーカや販売店の名誉回復のために朝刊に謝罪広告を掲載するとともに、テレビやラジオで安全宣言をし、県のホームページにも安全宣言とお詫びが掲載されました。 (http://www.pref.saitama.jp/owabi.htm:参照) まさに「猿も木から落ちる」ということになるのでしょうか。 一方の「雪印乳業」の対応については、調査が進むにつれて新事実が続々発表されてきています。黄色ブドウ球菌のみならずセレウス菌・大腸菌というものまで発見されてきました。2府10県(近畿・中国・四国・北陸:7月11日現在)と広範囲に広がり、企業内部の危機管理能力の低下ということだけではすまされなくなってきました。企業存続の危機にまで進展してきました。対応の遅さ、管理の甘さ、形だけの検査体制、事実隠し、返品再利用・・・と数えられないほどの欠点が浮かびあがってきます。まだまだこれからも新事実が、驚くべき真実として私達にいやおうなく知らされることになるのでしょうか。 これは「見ざる、言わざる、聞かざる」の反語ということになるのでしょうか。 ■サルに失礼な事件
この2つの事件に共通しているのは、"菌"の扱い方や管理の仕方で発生が予想できたのではないか。安易な体裁にこだわりを持ちすぎていなかったかどうかということです。猿知恵に走ってしまったためにこのような結果を招いたということではないでしょうか。O157の県の対応が早く前向きに対処していくその過程は評価に価することでしょうが、何でもなかったことで世間を騒がし、県と企業双方が損害をこうむることに至ったということで、その原因結果には猛省していただきたいと思います。一般消費者のハムに対する不安感をある期間うえつけてしまった責任は重大です。 また、「雪印乳業」の対応についてはまさに猿芝居と云わざるをえません。記者会見での工場長の爆弾発言に役員がおたおたしている場面は滑稽というより消費者のことをまるで考えない体質が浮かびあがってきました。「反省」のかけらも感じられません。発症者1万人以上の方の思い、そして日本中でこの発症の恐れに危機感を持った人に対してどう責任を取るか誠意が見えてきません。本当に大阪工場だけなのか、他の工場は大丈夫か?といろいろ詮索してみたくなるのが人情です。不安や憤り・・・のような集合想念を打ち消すだけの材料が見えてこないのです。 サルに大変失礼な事件ではないでしょうか。次郎君でさえ(と言っては失礼ですが・・・)形とはいえ「反省」しているのに県や自社の醜い体裁にこだわって、人間としての「反省」の色が見えないのは非常に残念なことです。 猿真似をした結果は、自分で責任を取っていただきたいと思います。そして大いに心底反省していただきたいと思います。それが人間としての自己責任において、役目を果たす必要があるのではないでしょうか。ハムや乳製品を毎日食している人たちの不安や悲しみを考えて欲しいと思います。 (後編につづく) |
[ホームページへ戻る]