■今月のコラム

「珠玉の言葉」 〜パート45〜

 選者:山下宏



 ■「心にしみた忘れられない言葉(2)」


この子は充分愛されて、育っていますね───


親と子の別々の面談のあと、児童相談所の先生の口から最初にでた言葉です。もう何年も前のことですが。

障害を持って生まれた息子は、知的障害の他にも次々と病気がでて、そのつど親は右往左往。

また思うようにできない「しつけ」にあせり、いらだちと、どうしてよいのかわからず、ただただ一緒に泣いたりと、親の感情のままに育てた子なのに・・・

私にとっては意外な言葉でした。

知的障害はさまざまな症状からくる弊害が大きく、言葉でのコミュニケーションがむずかしい分、本能的に驚くほどいろいろなことを察知します。

そのため、ごまかしがきかず、また素直で無邪気なのです。

この言葉を聞いたあと”ああ、いまのままでいいのだ”と思えるようになり、「障害児」という不思議人間と格闘するのはやめよう。むき合って教えなくっちゃという気持ちが萎えて、一緒に並んで、のんびりゆったり歩こうと思えるようになりました。

私が息子にしてやれることは、精一杯愛していくことだけなのかも知れません。






【選者の一言】
こんな素敵な言葉を極自然に発することができた先生。その先生の言葉で、のんびりゆったりと息子さんへ接することに変身されたお母さん。ここでも言葉の不思議に出会いました。






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