■今月のコラム

「青色発光ダイオード特許訴訟」について考える

 選者:山下宏



 ■「青色発光ダイオード特許訴訟」について考える

 中村氏が開発当時勤務していた日亜化学工業に青色発光ダイオード(青色LED)に関する特許権譲渡の対価の一部を求めた特許訴訟の判決で、2004年1月30日(金)、東京地裁は日亜化学工業に対して200億円の支払いを命じた。  企業の従業員である研究者・技術者が発明をして、特許権を取得した場合、それが会社の業務上の発明である場合は、職務発明と言われています。職務発明に対する対価については、近年オリンパス光学工業、日立製作所等の社員が提訴した事例や人工甘味料「アスパルテーム」の製法を開発した味の素の元社員が正当な対価を受け取っていないと提訴している事例等があります。職務発明に対する対価の取り扱いに関して、特許法が改正される動きも関係者には注目を集めています。  200億円という高額報酬は妥当かどうかが吟味されなければならない。日亜化学工業の業績を調べると、2004年2月17日付けの日経産業新聞によれば2003年12月期でのLED関連の売上高は1,400億円、2002年12期決算では経常利益が483億円である。200億円という数字が如何に高額であるか理解して頂けたでしょうか。  しかも今回の訴訟は特許第2628404号というたった一つの特許に対する対価の額なのである。中村氏が発明者で、特許権を得ている特許は百件以上ある。  この判決には色々と検討されなければならない多くの問題点を含んでいると考える。 @ 一人の発明者だけに焦点が当たりすぎていないか。 A 企業が研究開発にかけた諸費用は考慮されているか(人件費も含む)。 B 発明を製品化するまでの費用・貢献者等が考慮されているか。 日本の社会は和を尊ぶ社会で、戦後の発展も多くの人々がその恩恵を比較的平等に享受 できた珍しい国なのである。これまで発明者が報われない面があったことは認めますが、それをお金だけで解決しようとする考え方は如何なものであろうか。特定の発明者のみに高額報酬が支払われるような社会が皆さんにとって過ごしやすい社会と言えるでしょうか。最近、各企業では成果主義の導入が盛んですが、人事の役員の方、人事部長の方は従業員が納得できるような各人の仕事の成果の評価が出来ると考えているのでしょうか。私の永年のサラリーマン生活の経験から言わせてもらえば、色々な業務で成り立っている会社の個々の従業員の業績を一つの物差しで測るのは無理があります。  日本の社会の優れている点に目を向けず、海外の一部の点だけに注目して、変な制度や考え方を導入することはいい加減にやめにして欲しいものです。  この問題に関しては、産経新聞2月8日(日)、2月25日(水)に精神科医の和田秀樹氏と多摩大学学長の中谷巌氏が「正論」欄で意見を述べておられますので、そちらの記事もご参考にしてください。




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