■シリーズ「ワールド・スピリット」 世界の文化を訪ねて

後編は、私が長年培ってきた英国紅茶に関するノウハウを公開いたしますので、ぜひ参考にして下さい。
あまり詳しく書いていると、それだけで一つのホームページができてしまいそうなので、ここでは重要なポイントだけを簡単にご説明いたします。


第20回 イギリス特集2<優雅なるイギリス>
後編:「イングリッシュ・ティーを楽しもう」
 記者:黒岩宏光


まずは、紅茶の基礎を雑学として知識に入れてほしい。

■紅茶の基礎講座

●お茶の種類
以外と知らない人が多いのだが、この「紅茶」と,主に日本で飲まれている「緑茶」、そして中国で有名な「ウーロン茶」、これらの茶葉は実はみな同じなのである。どれもお茶の木(ツバキ科ツバキ属)の葉から作られている。 発酵の度合いで、緑茶、ウーロン茶、紅茶と分かれるのであって、もとは皆同じ種類の葉なのである。 葉を発酵させないのが「緑茶」、完全に発酵させる発酵茶が「紅茶」、その中間の半発酵茶が「ウーロン茶」となるわけである。

●紅茶の効用
うれしい紅茶の効用として以下の点が注目されている。
  • カキテンの作用
    カキテン類にはガンの原因といわれている活性酸素に対する抗酸化作用があり、血中のコレステロール値を下げる作用もある。
  • カフェインの作用
    眠気防止や、脳の活性に効果のあるカフェインを含んでいる。取りすぎは良くないが、紅茶には程良い量のカフェインが含まれている。(淹れた後のカフェイン料はコーヒーよりも少ない)
  • フッ素の作用
    紅茶はお茶の中では虫歯の予防で知られるフッ素を多く含んでいる。

●紅茶の種類
紅茶の種類は主にセイロン、インド、中国の産地による3種に大別され、その他インドネシア(ジャワ)産やケニヤ産などの種類があり、その産地からとれる茶葉により細かく銘柄が分けられる。また、産地による銘柄分けとは別に、オレンジ・ペコー、ペコーなどの葉の等級や大きさなどによっても区分けされる。「オレンジ・ペコー」と聞くとオレンジ味のフレーバーティを連想してしまうが、茶葉の部位と大きさの呼び名であって、味とはぜんぜん関係ないのでご注意を。

ここで紅茶の主な種類の簡単な特色を紹介する。

◎…よくあう ○…あう △…あまりあわない ×…あわない
■インド系●アッサムインドのアッサム地方で採れる種類。英国紅茶の代表的な種類で、コクがあるが渋みが少なくまろやかで飲みやすい。ミルクティーで飲むには最適な種類。色は濃い。

【ストレート○、ミルク◎、レモン△、アイス×】
●ダージリンアッサムとは対照的に薄い色合いで、「マスカットフレーバー」といわれるその香りは素晴らしい。日本茶に似た感覚で、砂糖やミルクなどは入れないでストレートで味わいたい。

【ストレート◎、ミルク×、レモン△、アイス△】
●ニルギリセイロン茶に似た味わいで、なじみのある味で標準的な紅茶といえる。ストレートでもミルクを入れてもレモンを入れても、またアイスでも美味しい。

【ストレート○、ミルク○、レモン○、アイス○】
■セイロン系●セイロンウバ、ディンプラなどの高級種も含み、セイロンと名前が付いていればいわゆる紅茶のスタンダート種。ティーバック用に使用されたりブレンド用に使用されたりと、標準的な味わいゆえ重宝な種類である。

【ストレート○、ミルク○、レモン○、アイス○】
●ウヴァ高級セイロン茶の代名詞ともいえる種類。世界3代銘茶の一つとして、渋みと酸味があり通好みの味といえる。

【ストレート◎、ミルク○、レモン△、アイス○】
●ディンプラフルーティ版ウヴァともいえる、マイルドな味わい。タンニンが少ないのでアイスティに向いている。

【ストレート○、ミルク○、レモン○、アイス◎】
■中国系●キーマン蘭の花の独特な香りがする紅茶。ウーロン茶系に通ずる飲みやすい味わいがある。薄くストレートで味わいたい。

【ストレート◎、ミルク×、レモン○、アイス○】
●その他フレーバーティの種類に属するが、ジャスミンやアールグレイといった種類も中国系に属する。
■その他●ケニア あまり単独では売られていない。セイロン茶に似たマイルドな味わい。ブレンドやティーバックでの利用が多い。

【ストレート○、ミルク○、レモン○、アイス△】
●ジャワセイロン茶に比べコクが薄く、少し特徴に欠ける。

【ストレート△、ミルク△、レモン○、アイス○】



■紅茶の入れ方 ポイント:美味しい色具合

私の場合、美味しく紅茶を入れるコツはズバリ『色具合』である。抽出の色の具合でおいしさが決まると言っていい。ポットに入れる茶葉の分量、抽出時間などに左右されるので多少経験が必要である。蒸らした後の色具合がどれくらいのものになるかによって、おのずと茶種による茶葉の分量などが経験により分かってくるわけである。

ダージリンや、キーマンといった薄目の茶種をアッサムのような濃さで飲んだら、渋すぎてとても飲めるような味ではない。
逆にアッサムやケニア、ニルギリなどの種類を薄めで味わっては本来のコクが味わえない。したがって、カップやポットも必ず白い器でなければ美味しい紅茶を飲むなどということは不可能である。縁に模様が施されていたりしていてもいいのだが、素の色が青や黄色などの色の付いたカップでは正しい色具合を確認することはできないので、紅茶を飲むときは必ず白いカップやポットを使用しよう
ダージリンやニルギリの美味しい色具合を会得したら免許皆伝である。


ダージリン
キーマン



薄い
ウヴァ
ディンプラ
セイロン
ニルギリ
ティーバック、
ブレンド茶などの
標準的な茶葉

濃い


ケニア
アッサム




●基本的な紅茶の入れ方(リーフティの場合)
  1. 必ず汲み立ての水道水を湧かす。ミネラルウオーターや再加熱した湯を使用しない。冬場などで寒いときは、ティーポットやカップをお湯などで暖めておく。
  2. カップ一杯につきティースプーン1杯(普通のコーヒースプーンで山盛り1杯)の茶葉をポットに入れる。ミルクティーで飲む場合は、+1杯を入れる。
  3. ポットにお湯を注ぎ、ふたをして蒸らす。
    ストレートで飲む場合は2〜3分、ミルクティの場合は3〜4分、ダージリン茶葉の場合は4〜5分間ほどを目安に蒸らす。
    ミルクはコーヒーミルクではなく冷たいままの「牛乳」を使用する。
と、簡単に言ってしまえば、これだけである。
これは、缶などに入っているリーフティの場合だが、普段なじみのあるティーバックではおいしい紅茶が飲めないというわけではない。(イギリスのご家庭でももちろん手軽にテーバックが利用されている)

「何で、沸かし立ての水道水なの?」「何でコクのあるコーヒークリームではなく、牛乳を使うの?」と、細かいところまでを説明していくと、ページがいくらあっても足りなくなってしまうので省略させていただく。この辺はみなさんが実際に紅茶を淹れてみて、実践で理解いただければ嬉しい。
あとは、先程述べた抽出後の色具合によって味わいのコツをつかもう。


前編でも述べたように、ただ単にのどを潤すためにいただく心構えではなく、時間をかけ、心を込めて丁寧に淹れ楽しくいただこう。その時間は次のステップに向かう時のインターバルでもあり、一日中忙しく働くあなたにとって必要不可欠な時間である。


午後に紅茶を、1日に潤いを、人生に幸福を。





付録:黒岩さんがおすすめするブランド紅茶







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