
■スリリングで楽しい啓徳空港 98年7月5日、香港啓徳(カイタック)空港が70年に渡る歴史を終え、その役目を香港新国際空港に譲ることになった。林立する高層ビル群の中に突っ込むように急旋回しながら降下し、眼下に摩天楼を見ながら着陸する。 世界中のパイロットから「最も危険で、神経を使う空港」といわれているのもごもっとも。少しでも操作を誤れば、市街地に突っ込み大惨事になりかねない。 しかし、搭乗している旅行者からは、こんなすごいスリルを味わえ、また、世にも美しい100万ドルの夜景を眺めながらのフライトは、パイロットの方には申し訳ないが実に楽しい。 もうこれだけで、はるばる香港にやってきた甲斐がある。飲茶やショッピングなどしなくても、香港に到着する前から旅の醍醐味を味わえる。 この啓徳空港が閉鎖になってしまうなんて、少し、いや、とても残念である。 何でも新空港は市街地から35キロも離れた場所にあるというではないか。空港から九龍、香港島に移動するにはかなりの時間がかかるのではないだろうか。 97年7月の中国返還から、日本からの観光客も減少し、JALなどの航空各社も便を減らしているという。この空港移転にて啓徳空港ファンも含め、今後渡航者の数も余計に減少してしまうのではないだろうか。 ■成金至上主義 空港を降りると、やたらにベンツやBMWといった超高級車が走り回っているのが目に付く。 ここ香港のお金持ちはとかくそのお金持ちぶりをひけらかす傾向にある。控えめに、慎ましやかに、他の人々の妬みをかわないようになどという考えは全く無い。自分の成功ぶりを世間のひとに見せびらかし、自慢する事が由とされているような程、派手なことがお好きなお土地柄のようである。 香港の高級ホテルもとにかくゴ〜ジャス一点張りで、格式や風格よりもとにかく大理石(なぜか?大理石はお金持ちのステータスなのだろうか)をふんだんに使用したインテリアで、こてこて感を演出する。 貿易で栄えた町、商売で栄えた町。中国返還でどうなるか不安を抱えた町。そして啓徳空港が閉鎖になった町。 この世で信じられるものはお金。 お金さえあれば将来の不安は無い。とにかくお金お金お金の町、それが香港なのだぁっ、といってしまったら香港の人に怒られるか。 中国のレポートでも紹介したが、この香港は本土中国の社会主義政策による唯物的な影響と、中国人(華僑)のたくましく強かな面が融合したとてもエネルギッシュで、ブルース・リーやジャッキー・チェンなどの国際映画スターを生み出した、パワフルな香港映画そのもののような場所、という印象を与える。でも啓徳空港が閉鎖になった事実に変わりはない。 ■風水って何? 今年啓徳空港が閉鎖になったのだが、89年に香港のランドマーク的存在として、香港銀行ビル、中国銀行ビルが相次いで完成した。その異様なデザインは、香港の名物ともなっている。さてこのビルだが、設計段階で最も重要視されたのは、風水(FENGSHUI)という占いによる方位方角、などの吉凶の判断だったそうである。何でも、香港で1,2を争う高名な風水師の指導を仰ぎ、粋を集めて完成したといわれている。 異様な三角の集合体のようなデザインも、建物の角度、玄関、間取りなどのすべてにこの風水学を取り入れたそうだ。 もちろんこのビルに限らず、一般のご家庭、店舗、オフィスなどあらゆるところでこの風水が取り入れられており、一般の民家でも、何でこんな所に鏡があるの?とか、なぜこんな所に金魚鉢があるのかな?と不自然な場所にレイアウトされている場合、まず風水の影響とみていいそうである。 この風水に限らず、香港の人々は占いが大好きである。手相、人相、占星術、四柱推命と何でもありで、まず占いのお世話にならない方はいないぐらい占いが繁盛している。 日本にも占いや易がありお好きな方も多いが、それにしてもここ香港では占いが一つの文化として、そして人々の生活に欠かせない重要な要素として浸透している。話は別だが啓徳空港も多くの旅行者にとって旅の思いでとして欠かせない景観として浸透していたのである。 私はこのページを書くにあたって、参考にと思い書店で2冊ほど風水学なる本を資料として購入し読んでみた。 風水学の歴史やら、1998年の動向やら、芸能人の恋愛運、お金の貯まる方位や部屋のレイアウトなどなにやら、いかがわしさを感じながら読んでみた。なぜ窓の位置とか水周りの位置がある方向を向いていないと吉であるとか凶であるとか、その根拠はどこにあるのかなどと疑問に思うのだが、それが占いというものであるらしい。 ばかばかしいと思いながら、数日後なにげに部屋の中の水槽の位置を北側から東の窓側に移動しているのはなぜなんだ〜。 ■どうなる香港 料理が上手で、商売が上手で、中華鍋と包丁があればどんな国でも場所でも生活ができるといわれている民族。親族間の結束を重視し、たくましく雑草のような生命力いや精神力をもっている。さぞかし人生が楽しいのではないかと思うが、誰もが将来に不安を抱え、風水や占いに頼って自分の運命を決め、御利益な宗教を信仰している。 啓徳空港が無くなってしまった香港だが、一般的に仏教、道教の流れを汲む宗教が残っているが、既に風化に近い状況にある。キリスト教系の新興宗教などもはやりだしていると聞くが、彼らの不安を解消し、風水や占いを超える役割を担えるだけの力量と教えがあるのか。 中国返還後は先のように大得意先である日本からの観光客も減少しており、「ホテルニ○コ○香港」をはじめ他の高級ホテルが日本人観光客には割高な代金を取っていたことも発覚し、啓徳空港もなくなっちゃったことも影響し観光客の足が遠のく要因が多い。 630万に及ぶ香港市民が中国へ回帰するのか、中国の主権下でこのまま経済発展を続けていけるのか、一国家二制度などという試みが成功するのか(しないだろうな)、香港市民の心に拝金主義的な思想を持ったまま本当の幸せを得ることができるのか、啓徳空港は復活しないのかなど、今後の香港の動向が心配ながら楽しみである。 次回は、グルメ編その2「お茶と悟りの関係」の予定です。 <宣伝> シリーズ、「ワールド・スピリット」 いよいよ!ヨーロッパ編が近日開始されます。お楽しみに。 詳細は次号にて。 |
[ワールド・スピリット バックナンバー] [ホームページへ戻る]