|
私はマレーシアという国とその国に住む人々を心から愛している。
■偉大なるアッラーの神
私は数年前、サラリーマン時代に仕事の都合で数カ月間をこの国で暮らす事になった。その時にこの国の文化や歴史などに触れ、この国の人々の人柄に接し、日本との文化の違いを超え、彼らの精神を受け入れる事ができた。
今でも、クアラルンプール市内であればガイドなしでほとんどの場所に行けるぐらいに道路事情にも詳しくなれたし、チャイナタウンなどではどこの店で偽ロレックスの腕時計を安く買えるかというくだらない事もよく知っている。
会社の上司からマレーシアへの赴任を命じられ、赴く時にマレーシアという国はどのような国であるか、恥ずかしながら何も知らないのであった。おそらくタイに隣接した国であろうし、同じようなところだろう(そもそもこういう考え方がいけない)程度の情報しか持ち合わせていなかった。
実際にこの地に降り立ち、荘厳なるモスクを目の当たりにし、コーランの調べが市内あちこちから流れ、熱帯の気候にもかかわらず多くの女性達はヴェールにて顔以外をすっぽりと包み込んだ装束で歩く姿を目にしたとき、タイとは隣接国ではあるが、まったく違う国であり文化もまるで違う国であることが痛いほどよくわかった。
■天国のような国
この国の良いところはとにかく物価が安いことである。そもそも私の勤めていた会社がこのマレーシアに工場進出した一番の理由は人件費の安さで、日本での正社員一名の労働賃金に対し、ここでは約10名のパート賃金が支払えるほど安い。
なんといっても有り難いのは食費で、昼食を工場団地内にある食堂や屋台で日本円で100円もあれば選り取りの中華料理がおなかいっぱい食べられる上、食後のトロピカルフルーツやジュースまでいただけるほど安い。(もちろん市内レストラン、ホテル内など注文すればそれなりの金額はする)
華僑人が多いのでどこへ行っても中華料理だけはいただくことができ、味の方も日本人の味覚に合いたいへんおいしい。ただし、マレー料理は一見おいしそうに見えるが、とんでもなくまずい。日本人には絶対に食べられない味と断言できる。南国のフルーツは本家本元、本場の国であり、マンゴー、パパイヤ、ドリアン、スターフルーツ(星型の珍しい果物でジュースにするとたいへんおいしい)といった果物がどこへ行っても死ぬほど腹いっぱい、そしてとんでもなく安い値段で食べられる。
人々も勤勉で穏和な性格の方が多く、特に日本人には優しく接してくれる。マレーシアには日本企業も数多く進出しており、多くの方がそこで働いている。日本系企業の就職人気は非常に高く、報酬や待遇の良さが人気の秘密なのであろう。この国の若者の多くは、日本製の車(ホンダアコード)に乗ることが将来の夢だという。
そんな事で日本人に対する印象度が他の国と比べ格段に良く、日本人に対して羨望と憧れの念を持っており、優しく接してくれるのである。
治安も比較的良く、常夏の気候と相まって、この国は天国ではないかと思えるぐらい居心地が良い。このままこの国に移住してもいいかななどという考えも生まれてくるくらいだった。
■勤勉で寛容なマレーシア
さて、このコーナーでは世界の国々の精神及び文化などを紹介し、その国を理解し受け入れ、民族間の壁を超え対立や紛争の無い新しい世紀を築いていこうという壮大な(笑い)計画のもとに連載されているが、その主旨からすれば、このマレーシアという国は一番その精神に近い国ではないかと思っている。
まずこの国の宗教はアッラーの神、イスラム教である。日本から一番近いイスラム教の国である。しかもインドネシアなどの中途半端なイスラムと違い、きわめて厳格なイスラムなのである。若い未婚の男女が同室に居合わせたというだけで即逮捕されてしまうほどキビシイ。立法よりもイスラムの掟の方がプライオリティが高い。
こんな厳格なモスリムがいるにも関わらず、この国は他の宗教の方達も相手の考え方の違いを尊重し、仲良く共存しているのだ。
民族もマレー系、中国系、インド系と多民族国家だが、宗教もイスラム(約50%)、仏教、ヒンドゥー教、キリスト教と世界の大宗教が混在している。
当然、多くの会社でもモスリム社員の為に、一日数回聖地メッカへ向けての礼拝ができるような礼拝室を備えているし、社員食堂にはモスリム用のメニュー(彼らは絶対に豚肉は食べない)も準備している。イスラム教徒でない方達も十分彼らの篤い信仰心を理解しているし受け入れている。他の宗教に対しても同様である。
ボスニア、ヘルツェゴヴィナの内戦をご存知でない方はいないだろう。ご存知某教原理主義派による泥沼の殺戮が繰り広げられている。もしも、マレーシアという国において厳格なモスリムの文化を侮辱し、彼らの神を罵ったとしたら、先の地と同じような戦乱が勃発し、銃弾が降り注ぎ、ミサイルが飛び交う状況になっても決しておかしくないはずであるのだ。しかし、そんな心配はこの国には全然無い。
人々は穏和かつ寛容で、争いを好まない。(実のところ、こんな暑い国で争って熱くなんかなっていられないと言ったところか。)謙虚な気持ちが優先し、相手の意見を尊重し学び取ろうとする勤勉な態度を持っている。その勤勉さは、日本に追いつけ追い越せとばかりの、この急速な経済成長が物語っているのではないだろうか。
■えらいぞ!マハティール 21世紀はマレーシアの時代だあっっ!
名将マハティール首相は、MSC(マルチメディア・スーパー・コリドール)計画と銘打ち、クアラルンプルを21世紀に向け、世界一の情報センターにするべくその計画が着々と進んでいる。1998年にはアジア一の新国際空港も開航予定である。アジアの通貨危機不安の中、無傷なのはアメリカ経済に依存していないこのマレーシアだけである。
21世紀の経済的リーダーはシンガポールとも言われているが、私はこの国民が勤勉と寛容の徳を備えたマレーシアが最右翼と見ているが読者諸君はどう思われるだろうか。
次回は、シンガポール「英語学習の薦め」の予定です。
|