
■恐るべし(1):たくましさと強かさ
台北の町中は、凄まじいばかりのオートバイの数である。道路一帯を埋め尽くす、とんでもない台数のオートバイ。 ノーヘル2人乗りなんて言うのは当たり前、3人乗りや時には4人乗りも見かける。 少しでも気を抜けば接触事故はおろか人身事故になりかねない。車やバイクを運転するものにとって、生き馬の目を抜くような運転技術が要求される。 排気ガスは蔓延し、砂埃と混じりあい、排気の騒音と町の喧噪で、頭がクラクラしておまけにめまいがしてくる。 台北市内の道路事情を観察すると、多くのドライバーは抜け目なく、危なっかしく、そんな中で強くたくましさを感じる。 この強かで、たくましく、ずる賢さのようなものがなければ、この町でバイクを転がすことはおろか、生きていくことだってできないのだ。「強かさ」、「たくましさ」はこの国を理解する上で重要なキーワードとなる。 このことは、台湾のおかれている国際的な立場、中国との歴史と密接な関係がある。 ■恐るべし(2):カラオケと屋台、強靱な体力 台湾といえばKTV(カラオケ)、といわれるぐらいカラオケがいまだ大人気。娯楽、レジャーというより生活の一部のように市民に浸透している。 日本から仕事などで台湾に渡航し接待を受ける際は、どなたでも間違いなくカラオケに連れて行かれ夜を徹して歌を歌わされることになる。歌が好きか嫌いか、歌えるか歌えないかと言うことは問題ではない。台湾人の体力についていけるかが問題だ。 こちらでも日本の歌謡曲は人気で、中国語に訳され歌われている。異国の方々とマイクを握って各国語入り乱れて歌を歌っていると、不思議だが何か打ち解けて仲良くなれる。 音楽や美しいメロディーは国境を越えて、人と人を結びつける力があるようだ。 日本でも屋台はあまり見かけなくなってしまったが、ここに来ればその懐かしい風物詩を堪能できる。士林地区、華西街などの夜市(ナイト・マーケット)ではフルーツ屋、屋台料理屋、雑貨屋など日本ではお目にかかれないような珍しいものが屋台に並ぶ。 昼間以上に活気があふれ、ここはまさに「不夜城」である。この人達はいつ休むのか? 24時間営業の店もとても多く、台湾の人々は並々ならぬ恐るべき体力を持っている。 ■恐るべし(3):電脳立国 今や台湾北部の新竹地区は電子産業の中心地として「アジアのシリコンバレー」とも呼ばれている。日本や世界各国で使用されている電子機器、コンピュータ部品、マザーボード、カラーモニタなどそのほとんどがここで生産され輸出されている。 世界的に孤立している台湾はこのハイテク産業を核に積極的な経済政策を行ってきた。その結果、外貨保有率は世界最高を誇る程の発展を見せている。 今や電子部品はmade in Taiwanが当たり前なのだ。 何度考えても、ハイテクと台湾−どう考えても不自然で結びつかない。 何度もこの国を訪れて、この国の人々とコミュニケーションをして、この国の人々とビジネスをして、この国について理解しているつもりなのだが、いまだに何でこの国=ハイテク産業なのか理解できないでいる。 しかし不自然であろうと不釣り合いであろうと何だろうと台湾人のパワーは半端ではない。結びつかなくとも強引にくっつけてしまうパワーがあるのである。 中小企業が隆盛し、多くの人々は企業家精神にあふれ、ベンチャー企業の老板(社長)になることを目指している。ビジネスマンは野心家が多く、何かギラギラしている印象を受ける。 台湾の企業とビジネスを行うと、台湾の恐るべきバイタリティを目の当たりにし、その鬼気迫るような強かな面を誰もが感じるはずである。 ■恐るべし(4):倫理観の希薄 現在では少なくなったが、一時はコピー大国といわれたほど著作物に対する道徳観の希薄さが問題になった。 今だ、台北の裏通りのCD屋では、日本の歌謡曲のコピーCDが格安で売られ、日本人観光客の利用も多い。(相場は110〜150台湾$。日本円で500〜700円くらい)。 法に触れ、問題があると思うやいなや会社を解散させ、その責任を逃れたり、いい加減な体質が残っている。 中国本土の長期間に渡る、社会主義政策による唯物的な思想の影響があるところは、中国や香港のレポートでもお伝えしたが、ここ台湾では先程よりのたくましさ、強かさがこの気質と融合し、なんとも言いようのない危機感と恐怖感をなぜか感じてしまう。 事実、台湾裏社会、裏組織などの暗躍はこの国の大きな社会問題となっている。 この唯物的な思想から端を発する問題は、今後この国が解決していかなければならない根本的かつ重要な課題になるだろう。 台湾はご存じの通り、これだけの経済的な自立を果たしていても中国本土は台湾の独立を認めていなし、日本、アメリカも独立国家として承認していない。 韓国のように財閥系の大資本があるわけでもない、国際的な外交があるわけでもない。以前からのこのような状態の中でこの国が生き残って行くには、香港の成功を羨み手本にしながら、自らの力で生き残って行くしかない。 コンクリートの壁を突き破って生える雑草のような強靱なパワーを発揮しなければ自分たちと自分たちの国をアピールする事はできないのであろう。 中国本土は1国家2制度を掲げ、香港と同じように台湾を取り入れ吸収しようとしているが、この恐るべき台湾の世界一とも思えるパワーは逆に、中国本土を小国台湾の自由資本主義の引力圏に引きずり込み吸収してしまうに違いない。 どうか皆様、決して台湾という小国を甘く見ないように。ご忠告まで。
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