■シリーズ「ワールド・スピリット」 世界の文化を訪ねて


第8回 オーストリア1
「ウィーン〜ウィーンの成功と幸福」   記者:黒岩宏光


■音楽の黄金時代
ウイーンといえば、誰しもが知る「音楽の都」。

ザルツブルグ出身の神童モーツアルト、交響曲の父ハイドン、楽聖ベートーベン(生まれはドイツだが生涯のほとんどをウィーンで過ごしている)、シューベルト、ブラームス、ワルツ王ヨハン・シュトラウス親子、ブルックナー、そしてマーラーといった、あまりにも偉大なる音楽家が17世紀〜19世紀に渡り、この地を舞台に大活躍した。

後世にその名を轟かす天才が、18世紀前後にこの地に集中して生まれ出ているのである、それこそ一大音楽芸術文化が花開かないといった方がおかしいのだろう。

このような要因だけでなく、優れた楽器演奏家、卓越した技を持つ楽器職人、ハプスブルグ家や多くの貴族たちの経済的支援(パトロン)、音楽文化の興隆に国を上げ多大なる貢献をした皇室(皇帝フランツ・ヨーゼフなど)、そしてなんと言っても、その文化を受け入れ愛したこの国の人々の存在により興った史上希なるかな絢爛なる音楽の一大文化が築かれるに至ったのである。


■ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーンで音楽の伝統が連綿と続いている一端の一つに、世界を代表する優れたオーケストラの存在がある。

ドイツの「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」と並び称される、かのマーラーも音楽監督を務めていた(1898〜1901)、「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」である。

音楽の都ウィーンのプライドと精神を受け継ぎ、その美しいハーモニーは世界中の音楽ファンを魅了し続けている。

ここ最近、ウィーンフィルに対する音楽ファンの厳しい評価を耳にするが、その辺はさておき、毎年恒例大晦日から元旦にかけ行われる「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」は今もたいへんな人気ぶりで、カラヤン、クラウディオ・アバド、ズービン・メータ、カルロス・クライバーなどの当代一流の指揮者を招聘し(1999年の指揮はロリン・マゼール氏)楽友協会ホールにて行われ世界中に衛星生中継されている。

演奏される曲目はすべてヨハンシュトラウスのワルツ(最終曲目は必ず「ラデツキー行進曲」で閉めることになっている)、これぞウィーンの誇り「ウインナワルツ」一色に新年を迎える喜びに彩りを加えるのである。

これを見ないと年が越せないといった音楽ファンも多いと思われる。ちなみに、この世界中の人気を集めるニューイヤーコンサートの約2000席のチケットはあらゆるコンサートチケットの中でも最高のプレミアがあるといわれている。入手するためには、ウィーンフィルハーモニーに、1年前程から直接申し込まなければならない。


■ケーキの都でもある
ウィーンにご旅行の際は、この国の名物、ご自慢料理、ワインなどをもちろん味わえるが、腹五分ぐらいに止めたい。なぜなら、食後のデザートウィンナケーキを味あわねばならないからである。

この国は、実はケーキという食文化の都でもあるのだ。ザッハトルテ、シュトゥルーデルといったウィーン貴族の間で華麗なる音楽文化とともに歩み、磨かれてきた伝統のケーキの味を、さてここは「世界の精神と文化を受け入れる」ことを念頭に置いて旅をするものの心得として、味覚でもって堪能しなければなるまい。・・・?

甘いものはちょっと苦手・・・などとたわけたことをいってはいけない。 喜んでいただこう。こんなに糖分をとったら体に悪いんじゃないかなどという心配は、この国の人々のケーキやコーヒーなどに入れる砂糖の摂取量を見ればたちまち吹っ飛んでしまう。我々日本人のおそらく十倍はあるんではないかと思われるほどの甘味の摂取量である。
さー食べまくろう!! (ぐぇっつ)


■ウィーンの成功
話を音楽とオーケストラに戻そう。
オーケストラはよく、調和した美しい形を表すことの喩えに用いられる。

各個人の卓越した演奏技術と能力(進歩)、オーケストラ全体のハーモニー(調和)、これは全く相反せずし相乗効果を創り出し、非常に高いレベルでの大調和を形成している。個々の幸福(努力)が全体での幸福の高みを織りなす絶好の見本となりうると言っていいだろう。
先ほどの名門ウィーンフィルハーモニーも「音楽の都」が創り出したそのオーケストラの一つの頂点と見るところである。私たちが営む社会活動の、ある意味で一つの理想像を見ることができる。

ウィーンは音楽という文化で成功した町である。その成功の精神はいつまでも多くの人々から永遠に愛され続け、いつまでもその調和の中から音楽を通して私たちに幸福を与え続ける。
ウィーンで数々の音楽家(個)たちがしのぎを削り、切磋琢磨された努力と成功は、私たち人類(公)の幸福の高みまでみごとに昇華されている。

このような素晴らしい文化が興ったことを同じ地球に住む者としてとてもうれしく、とても感謝したい。この土地生まれ育った文化に、偉大なる大音楽家に、音楽をこよなく愛したこの土地の人々に、音楽ファンの一人として、この地にてありあまる感謝の気持ちを、五体投地の姿勢でその意を表したい。

天才音楽家の作曲した音楽をマエストロと呼ばれる天才指揮者が指揮し、天才といわれる演奏家の集まりが奏でるハーモニーを聞く。天才の3乗の芸術を私たちはご家庭でいつでも好きなときに楽しむことができる時代にいる。

ああ、この星に生まれてよかった。(感謝)




次回は、オーストリア2、「たゆまぬ努力と根性、楽聖ベートーベンの音楽 付録:筆者が選ぶ第9交響曲ベストCD」 の予定です。お楽しみに。





 [World Spirit ヨーロッパ編] [World Spirit アジア編] [Home